若い女性は乳腺が高濃度の場合が多く、マンモグラフィ検査では全体が白く映り病変検出率が低くなります。特に40代までの方は超音波検査でも確認をおすすめします。
乳房
乳房診 | 乳がんを発見するために、乳房や腋の下・頚部のリンパ節にしこりがないか、また乳房や乳頭に異常がないかを視触診します。 |
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乳房超音波 | 超音波で乳がんや乳腺症、腫瘍など、乳腺内の病変を見つける検査です。触診でしこりとして触れない、微小腫瘤の発見を得意とします。また、若い年齢で乳腺の発達している人ではマンモグラフィより異常を発見しやすいとされています。 |
マンモグラフィ (乳房X線検査) |
乳房を上下・左右に挟んで、乳腺をX線撮影する検査です。触診ではわからない、小さな石灰化を有し腫瘤を形成しない乳がんの発見を得意とします。 |
主な所見・診断
乳腺症 | 乳腺の腫瘤、硬結、疼痛や乳頭分泌を伴う良性の変化であり、女性ホルモンの不均衡(相対的なエストロゲンの過剰)による起きると考えられています。生理に応じてある程度の周期性があり、嚢胞や繊維化、乳管の過形成などが見られます。乳腺症のほとんどは乳がんと無関係ですが、触診でがんを発見しづらくなるため定期的な画像検査で確認することをおすすめします。 | |
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乳腺嚢胞 | 分泌物などの液体貯留により乳管が嚢胞状に拡張した状態で、乳腺症でよく見られます。丸い形で数や大きさは様々です。腫瘤として触れることもありますが、基本的に無症状であれば放置して問題ありません。まれに大きく痛みを伴う場合は内容物を刺して吸引したり、多くの嚢胞が集まっている場合などに経過観察を勧められることもあります。 | |
乳腺腫瘤 | 乳腺内には「しこり」ができることがあり、そのしこりを腫瘤といいます。指摘された場合はそれが良性であるのか、悪性であるのかを詳しく調べることが必要です。二次検査の指示がでた場合は、必ず乳腺外来をご受診ください。 | |
乳腺線維腺腫 | 20~30歳代に多く見られる乳腺で最も頻度が高い良性疾患で、数cm程度の滑らかに動く腫瘤として気付くことが多いです。女性ホルモンに反応して生理前や妊娠期に大きくなることがあります。触診だけでは乳がんと区別が困難な場合も多く、画像検査で確認して経過を観察することが大切です。判断が難しい場合は細胞診や生検検査が必要となることもあります。 | |
乳管拡張 | 乳管拡張は乳管が液体で充満し拡張した時に起こります。40~50歳代の女性に最も多く起こり、更年期以降4人に1人が発症します。無症状の場合が多いですが、乳頭分泌や乳房の圧痛を感じる人もいます。通常は治療を行わなくても改善することが多いですが、症状が持続するようであれば乳腺外来をご受診ください。また、稀にがんなどに伴って乳腺拡張が認められることもあるため、再検査・精密検査の指示がある場合は必ずご受診ください | |
乳腺石灰化 | 乳腺内にカルシウムが沈着することがあり、これを乳腺石灰化といいます。石灰化の大半は良性疾患(線維腺腫・乳腺症など)によって起こりますが、乳がんに伴う場合もありますので区別が必要です。マンモグラフィ検査では石灰化の形と分布で良性か悪性かを判断しますが、判定が困難な場合は追加で検査が必要になることがあります。 | |
乳房構成 | 脂肪性 | 乳房はほぼ完全に脂肪に置き換えられています。 |
乳腺散在 | 脂肪に置き換えられた乳房内に乳腺実質が散在しています。 | |
不均一高濃度 | 乳腺実質内に脂肪が混在し、不均一な濃度を呈します。 | |
高濃度 | 乳房実質内に脂肪の混在はほとんどない状態です。 |
乳がんの自己触診
乳がんは自分で発見できる数少ないがんの1つです。自己触診を行うことで乳房の変化に気づくことが多いため、自己触診を習慣づけることをおすすめします。自己触診は、いつもと変わらないことを確かめるものです。自宅で下着を取った時に気軽に毎日でも行いましょう。
鏡の前で乳房のチェック
鏡の前に立ち、楽な姿勢で両手を下ろし、乳房を観察します。また、両腕を上げたり下げたり、横を向いたりして同様に観察します。
観察ポイント
- 左右の乳房の形は同じか
- 乳房の向きは同じか
- 乳房にくぼみやひきつれはないか
- 乳頭がへこんだり、ただれがないか
あお向けに寝てしこりのチェック
しこりがないか触ってみます。まず、あお向けに寝てタオルなどを肩の下に入れ、片腕を上げます。反対の手で乳房の外側から中心へ向かって、渦巻きを描くように触ります。親指以外の4本の指の腹で滑らせるように触ってください。また、腕を上げるだけでなく、下げた状態でも調べましょう。
リンパ節のチェック
分泌液のチェック
腋の下の奥に指先を差し入れるようにして、腋の下のリンパ節が腫れていないかどうかを確かめます。
乳輪から乳頭に向けて乳汁を絞るようにつまみ、血液の混じった分泌物が出ないかどうかを確かめます。