上部消化管
上部消化管X線検査 | バリウムを飲みX線撮影することで、胃及び食道・十二指腸の一部を写し出します。臓器の形の変化や異常(炎症、潰瘍など)がわかります。 |
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主な所見・診断
瘢痕・硬化・開大 短縮・変形・弯入 | 皮膚の傷口には治った後に硬い傷跡ができますが、粘膜にも潰瘍などの後に傷跡が残ります。これを瘢痕といいます。その部分が硬くなれば硬化、自然な胃や腸の働きが妨げられて開大や短縮となり、ひきつれが起これば変形や弯入(切れ込み)となります。 | |
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隆起性変化 胃ポリープ 粘膜下腫瘍 | 内腔に盛り上がった所見を隆起といいます。胃ポリープは粘膜の表面が部分的に盛り上がった病変です。粘膜下腫瘍は粘膜下層に腫瘤ができて粘膜の下から盛り上がった病変です。いずれもほとんどが良性ですが、稀に悪性のものもあります。大きさや表面の性状によって精密検査を必要とする場合があります。 | |
不整・粗大 | 粘膜の表面が乱れたり、荒れている状態です。ほとんどが胃炎である場合が多いですが、悪性の変化の一時期でも同様の所見を示すことがあり、高度の変化の場合には内視鏡検査が必要です。 | |
潰瘍・陥凹性病変 バリウム斑 | 粘膜の表面に傷や欠損があり周囲よりも凹んでいる時には、バリウムが溜まります。良性のびらんや潰瘍でもみられますが、悪性の病変でも組織が崩れてバリウムが溜まることがありますので、内視鏡検査が必要です。 | |
憩室 | 消化管などの壁の薄い部分が、内側の圧力によって外側に膨らみ袋状の変化を起こしたものを憩室といいます。食道・胃・十二指腸の憩室は、ほとんど症状もなく放置可能です。 | |
食道裂孔ヘルニア | 横隔膜の食道裂孔から、腹部食道および胃の一部が胸腔内に入り込んだ状態をいいます。胃液の逆流による逆流性食道炎を起こすことがあります。 | |
胃炎 | 胃に起こる炎症のことで、胃粘膜の状態によって萎縮性胃炎、びらん性胃炎などの所見となります。 |
胃・十二指腸潰瘍の方の生活改善ポイント
胃・十二指腸潰瘍は、胃液分泌と胃液から粘膜を守る粘液分泌のバランスが乱れることによって起こります。原因はストレス・不規則な食生活・鎮痛剤の服用・ヘリコバクターピロリ菌の感染などです。
- 「・・・しなければ」をやめる
- 手抜きや息抜きができない真面目な性格の人は、ストレスがたまりやすくなります。がんばり過ぎていませんか?
- ストレスをため込まない
- 趣味やスポーツ・小旅行など、ストレスを発散できるものを見つけることが大切です。
- 睡眠を十分にとる
- 睡眠不足はストレスに対する抵抗力を弱めます。心身の疲労を回復するために十分な睡眠をとりましょう。
- 食直後は入浴や運動を控える
- 消化を促すには、消化管の血流を保つことが大切です。食直後の入浴や運動は消化を妨げるので注意。
- 刺激物はなるべく避ける
- コーヒー・紅茶・アルコールや胡椒・唐辛子などの刺激の強い香辛料は胃液の分泌を促進するので控えましょう。
- 寝る前に食べない
- 睡眠中は消化管の働きが低下するので消化が悪くなります。就寝の3時間前までに食べ終えましょう。
- よく噛んでゆっくり食べる
- 胃の負担にならないよう、脂っこい料理はなるべく避け、消化を助けるため、よく噛んでゆっくり食べましょう。
- 1日3食、規則正しく食べる
- 空腹の時間が長くなると、胃・十二指腸の粘膜を胃液に長時間さらすことになります。規則正しい食生活を。
ペプシノーゲン | 胃粘膜の萎縮の程度を調べる検査です。萎縮を認める場合、胃がん発生高危険群に入ります。陽性(+)の場合はX線の結果に関わらず、内視鏡検査をおすすめします。 |
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ヘリコバクターピロリ | 胃の粘膜に生息する細菌で、慢性胃炎や胃・十二指腸潰瘍、胃がんの原因になります。血液、内視鏡、呼気、便などピロリ菌の抗体や抗原を調べる検査を受け診断や治療の評価を行います。 |