血圧とは血液が血管を流れる時に動脈の壁(内壁)にかかる圧力です。
長期にわたり血圧が高い状態が続くと血管がもろくなることや動脈硬化の進行が早まります。その結果、虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞など)や脳卒中(脳出血や脳梗塞など)の発症頻度が高くなります。また、血圧が高いことは心臓への負担が大きく、心臓肥大となり心不全を起こす危険性も高まります。命に係わる脳や心臓の病気を未然に防ぐために、血圧を高くしないこと、高血圧の早期発見・治療が非常に重要です。
さて、血圧は気温の影響を受け季節によって上下する季節変動が知られています。気温が低くなると血圧は高くなり、正常者では5mmHg前後、高血圧の方は10mmHg前後、中には20-30mmHgも血圧が上昇する人も認められます。さらに、冬は血圧の上昇に伴い、虚血性心疾患や脳卒中などのリスクが高まることも報告されています。
高血圧の原因は様々ですが、90%が“本態性高血圧”と呼ばれる発症原因が判らない高血圧です。本態性高血圧の発症には遺伝的因子と環境的因子とが関わっていると考えられています。両親が高血圧の場合、その子供の50%が高血圧を発症すると報告されており、遺伝的因子は避けることが出来ません。しかし、環境因子は生活習慣と深い繋がりがあるため、高血圧を防ぐ好ましい生活習慣を取り入れることで予防や進行を遅らせることに繋がります。次の様な点に注意しましょう。
高血圧は心臓病や脳血管障害だけでなく色々な病気と関係があります。遺伝因子を持たない人にも発症しますので、多くの人が生活習慣を見直し、血圧を上げない様に気を付けることが寒い季節には特に大切です。
産業医 佐藤 潤一