2020年新型コロナウイルス感染症が世界中で流行した時に、感染予防として手洗いの重要性が求められ、手洗いの方法などがテレビやSNSでたびたび紹介され、多くの人がこまめに手洗いをしていました。
しかし、感染症の分類が変わり、最近では手洗いをしない方や、きちんとした手洗いをしていない方をビルの洗面所などで見かけることがあります。
手洗いの習慣は単に新型コロナ感染症予防に留まらず、インフルエンザや風邪などの呼吸器感染症、ノロウイルスなどの腸管ウイルス感染症、食中毒など様々な疾患の予防に極めて重要です。
私たちの手のひらには毒性の有無を問わずおよそ1,000,000個のウイルスが存在しています。その手を流水で15秒洗うだけで1%の10,000個に減りますが、石鹸をつけて丁寧に洗うと、ウイルスは数個にまで減ることが報告されています。このことから、石鹸をつけて30秒、丁寧に揉んでから流水ですすぐことが推奨されています。
この様な手洗いを習慣化することが感染予防にとても大切です。
手洗いのタイミングとしては、外出から帰った時、調理の前、飲食の前、トイレの後、鼻をかんだり、咳エチケットが間に合わず手で押さえた後、病気や介護の人をケアした後、ペットや動物に触れた後などで、必ず手洗いをしましょう。
手洗いの後にアルコールを噴霧することで、より効果が高まります。注意点としては、十分に乾燥してから噴霧すること、息を吹きかけず自然乾燥させることです。
トイレにスマホを持ち込むことはスマホの画面を汚染させます。せっかく手洗いをしても画面からウイルスや細菌が再び指先に付着してしまい、手洗いの効果がなくなります。スマホを洗うことは出来ませんので、スマホをトイレで操作することは止めましょう。
きちんとした手洗いを行うとウイルスや細菌の感染力を百分の一に減少するとの報告があります。自分が病気にならないだけでなく、第三者への感染拡大防止にも繋がります。手洗いの習慣の重要性を忘れない様にしましょう。
産業医 佐藤 潤一