“暑さ寒さも彼岸まで”ということわざがありますが、最近はそれを過ぎて10月半ば頃まで熱中症の危険もある暑い日が続きます。
しかし、9月に入ると昼間の気温は高く真夏日となっても朝晩の気温が次第に低下するため一日の寒暖差が大きくなってきます。室内ではまだまだエアコンが必要ですので、室内外の温度差も依然として大きくなっています。そのような気温差、秋雨前線や台風による気圧の変化、さらに7月からの猛暑の影響で身体が疲弊していることが重なり、所謂“秋バテ”と呼ばれる体調不良を起こすことが少なくありません。
秋バテは自律神経の乱れ、身体の冷え、睡眠不足、疲労などにより種々の症状が起こります。何となくだるい、疲れやすい、頭が重い、肩こり、胸やけや胃のもたれ、食欲の低下、めまいなどの身体症状だけでなく、寝つきが悪い、朝なかなか起きられない、気力や集中力の低下、気分の落ち込み、イライラするなど精神的な症状も認められます。
秋バテの原因として自律神経が大きく関与していますので、先ず生活習慣を整えることが重要です。睡眠は健康の基本ですので、朝決まった時刻に起きて、出来るだけ日の光を浴びることは脳を活性化するとともに夜の睡眠に良い影響を与えます。また、朝食をしっかり食べることも生活のリズムを整え健康を保つことにとても大切です。
昼間は未だ気温が高い日が多いので、朝晩に散歩をすることやストレッチなどで意識的に身体を動かすようにしましょう。また、テレビ、パソコン、スマホなどのモニターを寝る前まで見ることは寝つきを悪くし睡眠不足に繋がりますので最低1時間前には画面から離れるように注意してください。
身体の冷えも秋バテの原因となります。室内外だけでなく朝晩と昼間の気温差も大きくなる季節です。重ね着や薄手の長袖の着用、ひざ掛けやストールなどを利用して寒暖差対策をしっかりしましょう。
ゆっくり湯船につかることは身体を温めるだけでなくリラックスして自律神経を整える作用もありますので入浴も大切です。さらに栄養のバランスだけでなく、温かい飲み物や食べ物を意識的に摂ることも身体の冷えを防ぎ健康の保持増進に繋がります。
秋雨前線や台風も健康に影響を与えます。天候が悪くなる時は無理せず休養に努めること、頭痛やめまいなどの症状が出る方は事前に鎮痛剤などを内服して予防することも効果的です。
しかし、このような対策を行っても症状が10日から2週間程度続く時や次第に悪化する場合は、何らかの病気が潜んでいる可能性もありますので、早めに専門の医療機関(内科、精神神経科など)を受診することが必要です。
秋バテを予防して爽やかな秋を過ごしましょう。産業医 佐藤 潤一