同友会メディカルニュース

2011年1月号
関節リウマチの話題

関節リウマチは滑膜と呼ばれる関節を包む膜が持続的に炎症を起こすことで、次第に骨や軟骨なども障害を受け、強い痛みと共に関節の変形が進行してしまう病気で、一般的には「リウマチ」という言葉で知られているかもしれません。以前は医師の間でも「慢性関節リウマチ」といったりしていましたが、2002年に日本リウマチ学会より「関節リウマチ」という正式名称に変更されました。関節リウマチはその名の通り関節の破壊が徐々に進行してしまい、以前はなかなかよい治療法がなくステロイド剤なども使ったりしていましたが、病状が進むと動くことさえままならずに寝たきりになってしまうこともあります。ところが近年、新しい薬が開発され、その治療方法と予後を一変しました。さらに2010年には、米国リウマチ学会(ACR)と欧州リウマチ学会(EULAR)から23年ぶりに発表された新しい診断基準がアメリカのリウマチ専門雑誌に掲載され(Ann Rheum Dis 2010;69: 1580-1588)、関節リウマチの診断・治療を取り巻く環境が大きくかわりました。

新しい診断基準は、①関節の腫脹や圧痛など関節炎の所見がある、②自己抗体(リウマチ因子、抗CCP抗体)が陽性、③炎症反応(CRP、血沈)が陽性、④半年以上の罹病期間の4項目を点数化し関節リウマチ診断の基準としています。もちろんこの診断基準がすべてではありませんが、従来の基準に比べて新たに血液検査項目を追加することなどにより早期に診断することを大きな目的としています。早期診断が重要になった背景には、関節リウマチが発症した早期から適切な治療を始めることで、関節の破壊を最小限に抑えることができることが近年の研究で明らかになってきたことが挙げられます。実際に、多くの関節リウマチでは発症後1~2年以内に関節破壊の3~4割が進行してしまうとも言われています。

このような関節リウマチ診療の変革をもたらした大きな要因として、生物学的製剤と呼ばれる新しい治療薬の開発があげられます。この新しい治療方法を用いることで、今まではなかなか病状の進展を抑えることができずに、痛みの軽減などが主な治療目標だった状況から、病勢の進行を止めて臨床的には治ってしまう状態にすることも可能になってきました。生物学的製剤というのは、化学的に合成されたものではなく、最新のバイオテクノロジーを用いて生物が産生した蛋白質を利用して作成した薬で、バイオ医薬品とも呼ばれます。現在関節リウマチの治療に使われている生物学的製剤は、サイトカインと呼ばれる炎症を引き起こす物質を抑えることで効果を発揮します。このサイトカインは関節リウマチで異常に増加し、関節の炎症を引き起こすことで、痛みや腫れ、骨・軟骨の破壊による変形を引き起こしてしまうのです。2003年に国内で第一種類目の製剤が承認されて以来順次開発が続けられ、現在使用可能な製剤は5種類あります。

表1.

商品名 商品名 認可 治療の標的
インフリキシマブ レミケード 2003年3月 TNF
エタネルセプト エンブレル 2005年6月 TNF, LTa
アダリムマブ ヒュミラ 2008年4月 TNF
トシリズマブ アクテムラ 2008年6月 IL-6
アバタセプト オレンシア 2010年7月 T細胞

このように関節リウマチの診断・治療は一変したといえますが、実際の診断には、X線やMRIを用いた関節の画像診断や他の病気による関節炎の評価など、専門的な診断が大変重要になります。ドックの成績では診断に必要なリウマチ因子(RA)やCRPなどを測定しておりますので、それらの値が高く、関節が腫れたり、痛いといった症状が続いている場合には必ずリウマチ専門医をご受診ください。

リウマチ

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