同友会メディカルニュース

2014年2月号
データヘルス計画が始まります

平成26年度から厚生労働省がデータヘルス計画と呼ばれる事業をスタートさせます。これは健康保険組合などの保険者が、健診の結果やレセプトと呼ばれる病院を受診した際の保険診療情報を分析し、費用対効果の高い保健事業を実施することで疾病予防や悪化防止につなげるというものです。

5年前に始まった特定健診・保健指導は、メタボリックシンドロームに注目し内臓脂肪型肥満を解消することで、将来の心筋梗塞や脳梗塞といった生活習慣病を予防する施策であり、その意味では今回のデータヘルス計画と方向性は同じものです。ただし、特定健診・保健指導では、どちらかというと疾病予防のより上流が対象となっているため、痩せることは出来たもののなかなか最終段階である重篤な病気の予防という形で結果が表れにくい状況です。その一方で、高血圧や糖尿病などがかなり悪い状況にあることが健診結果で分かっているにもかかわらず、まったく病院を受診せずに心筋梗塞や脳梗塞を発症したり、人工透析を受けなければならないほど腎機能が悪化したりする方がいまだに多く存在します。特定健診・保健指導では、高血圧や糖尿病で治療が必要な場合には受診勧奨をするということになっていますが、実際には受診させることよりも保健指導で痩せさせるということに施策の重点がおかれてきた側面も否めません。

データヘルス計画では、各保険者が分析結果に基づいて将来の医療費抑制につながるような保健事業を立案、実施することが求められます。実際には、平成26年度から一部の健保組合で先行して計画立案を開始し、最終的には年度内にすべての健保組合がデータヘルス計画の作成に着手することになります。その計画に基づき平成27年度から計画を実施し、平成29年度までが第一期となる予定です。

具体的にどのような対策が求められるかについては、昨年9月に公開されたデータヘルス事例集(*1)に先進的な取組がまとめられているので参考になります。個別事例紹介の目次を見ると、全体的な方向性がつかめますので表1をご覧ください。

表1.データヘルス事例集、個別事例紹介

第1章 特定健康診査の実施率の向上へ!
第2章 レセプト病名と治療内容の関連づけ
第3章 事業所ごとの比較分析・リスク者抽出
第4章 データに基づく保健事業の展開
1.意識づけプログラム
2.生活習慣病予防プログラム
3.重症化防止プログラム
4.前期高齢者に関する取り組み
5.後発薬品に関する取り組み
第5章 事業主(事業所)との協力・連携(コラボヘルス)
第6章 保健事業の実施評価・PDCAサイクル

この中でも重症化予防と呼ばれる施策は大変重要な施策の一つです。これは、まだ投薬治療が必要なレベルではないメタボへの対策とは違い、より重症な病気になる確率の高い段階にあるにもかかわらず、必要な対策が取られていない人に対してより積極的な受診勧奨やその後のフォローを行うものです。重症化予防を成功させるために重要なポイントは、事業主との連携を上手く図れるかどうかということです。もともと健診結果が悪くても受診しないで放置している方は、健康保険組合が受診を勧める程度ではなかなか行動に移してくれないのが現状です。事業主側にこのような取り組みに理解をしていただき、人事部や上司から受診を積極的に勧奨し重い腰を上げてもらうことは、社員の健康維持や病気の発症による人材喪失の防止という点でも大変重要です。また、重症な病気の治療には多額の費用がかかります。例えば、糖尿病等により腎臓が悪くなり人工透析になってしまうと年間約600万円が継続して発生します。狭心症や心筋梗塞に対しておこなう治療は、カテーテル治療や心臓バイパス手術等の治療方法にもよりますが約200~400万円かかります。これらの費用は皆様が払っている保険料や税金で賄われているので、重症な病気になるのを防ぐことは患者さんご自身やそのご家族の幸せにつながるということのみならず、病気になっていない健康な人々の経済的負担も軽減することになります。

高齢化に伴い日本の医療費は年々増加する中、健保組合の合計収支は平成25年予算で4,573億円の経常赤字です。(1,420組合合計、健康保険組合連合会報告)これからは、いかに費用をかけずに健康を維持するかを国民全体で考えていく必要があり、データヘルス計画はその一助となるよう期待がされます。

同友会からのご案内

参考文献:

  • *1)被用者保険におけるデータ分析に基づく保健事業事例集(データヘルス事例集)第一版、厚生労働省保険局保健課

同友会メディカルニュース / 医療と健康(老友新聞)

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