同友会メディカルニュース

2021年1月号
がん検診受診しましたか?

現在、COVID-19の流行第3波となり、日本国内でも「医療崩壊」の危機がつたえられています。2020年は、COVID-19のパンデミックにより、世界各国で医療機関がひっ迫し、待機的手術を延期せざるを得ない状況が起こりました。

年間37万人余りが、がんで亡くなっています

2018年、国内のがんで死亡した人は373,584人で、2020年の全がんの罹患数予測は1,012,000人、全がん死亡数予測は379,400人です。(1) 生涯のうち、がんに罹患する確率は、男性が65.5%、女性が50.2%で、日本人の2人に1人はがんになると言われています。しかし、日本対がん協会、結核予防会、予防医学事業中央会の3団体が行ったアンケート調査では、2020年2~7月のがん検診や特定健診などの健診受診者は、施設健診では前年度の76.4%、巡回健診では56.4%に減少しています。(2)

検診では、無症状の早期がんの段階で発見できることが多く、検診の未受診により、がんの発見・診断、治療が遅れてしまう可能性が危惧されています。

がん治療が遅れれば死亡リスクが上昇する

がんの治療開始の遅れは、生存率や再発率などに悪影響を与えることが予想されますが、今回、全がんの44%にあたる7種類のがんについて、診断を受けてから最初の主な治療(根治手術、化学療法、放射線治療)を開始するまでの時間が遅れることによる死亡率への影響を検討した論文が発表されました。(3)

対象は、膀胱がん、乳がん、結腸がん、直腸がん、肺がん、子宮頚がん、頭頚部がんの7種類です。「治療の遅れ」は、1)診断~治癒を目標とする最初の治療(根治手術や放射線治療)までの時間、2)手術~術後補助療法を始めるまでの時間、3)診断~術前補助療法を始めるまでの時間、4)術前補助療法終了~手術までの時間、が4週間遅くなったこととしています。

2000年1月1日から2020年4月10日までに発表された論文で、治療開始の遅れが7種類のがんの死亡率に与える影響を定量的に評価している信頼性の高い34件の後ろ向き研究、計127万2681人の患者について、メタアナリシス(複数の研究結果を統合・分析すること)を行っています。

主要評価項目は、治療開始がそれぞれ4週間遅れることによる全生存率に与える影響を、遅れがなかった患者群と比較し、遅れのあった患者群の全死亡リスクをハザード比(相対的危険度)で推定しています。

手術の遅れは、多くのがんで4週間当たり6~8%の死亡リスク上昇と関係していました(表1)。また、術前と術後の補助療法の遅れについても4週間当たりの死亡リスクは、膀胱がんと乳がん、また大腸がんの術後補助療法で有意に上昇し(表2)、放射線治療では、頭頚部がんの根治的放射線治療と子宮頚がん術後の補助放射線治療の遅れが、死亡リスクを上昇させました(表3)。

〔表1〕 手術の遅れが死亡リスクに及ぼす影響
がん ハザード比(95%信頼区間) ステージ
膀胱がん 1.06(1.01-1.12)* I-Ⅲ
乳がん 1.08(1.03-1.13)* I-Ⅲ
結腸がん 1.06(1.01-1.12)* I-Ⅳ
頭頚部がん 1.06(1.06-1.08)* I-ⅣB
非小細胞肺がん 1.06(0.93-1.19) I-Ⅱ

* 有意差あり

〔表2〕 術前・術後の補助療法の遅れが死亡リスクに及ぼす影響
がん ハザード比(95%信頼区間) ステージ
膀胱がん 術前補助療法 1.24(1.03-1.50)*
膀胱がん 術後補助療法 1.04(0.98-1.11)* Ⅱ-Ⅳ
乳がん 術前補助療法 1.28(1.05-1.56)* Ⅰ-Ⅲ
乳がん 術後補助療法 1.09(1.07-1.11)* Ⅰ-Ⅲ
大腸がん 術後補助療法 1.13(1.09-1.17)* Ⅱ-Ⅲ
非小細胞肺がん 術後補助療法 1.01(1.09-1.17) Ⅰ-Ⅳ**

* 有意差あり、** 病理(顕微鏡検査での)Stage

〔表3〕 放射線治療の遅れが死亡リスクに及ぼす影響
がん ハザード比(95%信頼区間) ステージ
頭頚部がん 根治的放射線療法 1.09(1.05-1.14)* Ⅲ-Ⅳ
子宮頚がん 補助放射線療法 1.23(1.00-1.50)* Ⅰ-Ⅲ
乳がん 術後補助放射線療法 0.98(0.88-1.09) Ⅰ-Ⅱ

* 有意差あり

以上の結果より、7種類のがんに対する治療開始の遅れは、4週間でも死亡率の増加と関連すると結論づけられています。但し、この研究データの多く(25/34)は米国のものであり、米国で行われているがん検診は、対象となる7種類のがんのうち乳がん、子宮頚がん検診のみで、企業健診が広く普及し、国民皆保険の日本のデータは含まれていません。また、ステージ(病期)が、Ⅰ~Ⅳと転移のある進行がんも含まれていることから、進行がんの治療の遅れが死亡率を上昇させている可能性も指摘されています。

がん検診の間隔について

1つの細胞が1cmのがん(がん細胞約10億個)になるまで、例えば、乳がんでは、細胞分裂で30回、15年間かかります。しかし、1cmのがんが、2cmになるには、たった3回の分裂、1年半しかかかりません。1cm以下のがんは検査での発見が困難です。乳がんの場合、2cmまでが早期がんであり、1~2年ごとに検診を受けなければ、がんを早期に発見できないことが分かります。

日本では、子宮頚がん、乳がん、大腸がん、肺がん、胃がんの5つのがん検診が広く行われています。

現在、各健診施設では、感染防止対策が取られています。がんや基礎疾患(重症化リスクとなる高血圧症や糖尿病など)の早期発見・治療のためにも、今年度未受診のかたは、がん検診や健康診断をご受診下さい。

そして、適切な治療を適切な時期に受けられる医療体制を守るため、個人の感染対策(新型コロナウイルスにうつらない、うつさない)を引き続き心がけていきましょう。

公益財団法人日本対がん協会 コロナ禍でも必要ながん検診に行こう(東京大学 中川恵一准教授からのメッセージ)https://www.youtube.com/watch?v=j5lKabkBjh0&feature=youtu.be

参考文献・参考サイト

同友会メディカルニュース / 医療と健康(老友新聞)

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