同友会メディカルニュース

2014年10月号
HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)について

人間ドックや健診を受診していただきますと、糖代謝検査として血糖値とHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)を測定します。

血糖値とは、血液中のブドウ糖の濃度のことで、空腹時に低下し、食後には上昇します。

<空腹時血糖の判定>

基準範囲 要注意 糖尿病型
99 mg/dl以下 100-125 mg/dl 126 mg/dl以上

HbA1cは、赤血球に存在するヘモグロビン(Hb)に、ブドウ糖が結合したものです。赤血球の寿命は約4か月であり、この間に赤血球が体内をめぐり、ヘモグロビンにブドウ糖が結合します。血液中のブドウ糖が多いほどHbA1cの値は高くなり、HbA1c値は過去1~2か月の血糖コントロールの状態を反映します。

<HbA1cの判定>

基準範囲 要注意 糖尿病型
5.5%以下 5.6-6.4% 6.5%以上

血糖値とHbA1cを同時に測定し、ともに「糖尿病型」であることが確認されれば、初回検査のみで糖尿病と診断されます。

HbA1cは、糖尿病診療において血糖コントロール状態の最も重要な指標として利用されていますが、以前から日本で使用されてきたJapan Diabetes Society (JDS)値で表記されたHbA1cは、国際的に使用されているNational Glycohemoglobin Standardization Program(NGSP)値と比較すると約0.4%低いという問題点がありました。そこで、2012年4月からHbA1c(NGSP値)をHbA1c(JDS値)と併用することとなり、2014年4月からはHbA1c(NGSP値)のみを使用しております。以前の健診結果などのHbA1c(JDS値)と、2012年4月以降のHbA1c(NGSP値)を比べる場合は、HbA1c(JDS値)に0.4%を加えてください。

糖尿病は放置しますと、眼・腎臓・神経などに細小血管合併症(網膜症・腎症・神経障害)を引き起こします。個人差がありますが、糖尿病発症から、0~5年で神経障害、7~8年で網膜症、10~13年で腎症を発症する方が多いです。
網膜症が進行すると眼底出血などにより失明、腎症が進行すると腎不全になる恐れがあります。糖尿病は、日本における透析導入原因の第一位、成人の失明原因の第二位を占めています。また、糖尿病を発症しますと、脳梗塞・心筋梗塞・閉塞性動脈硬化症などの大血管障害も起こしやすくなります。

日本人の2型糖尿病患者さんを対象としたKumamoto研究、および海外で行われた大規模臨床研究の結果から、細小血管合併症予防のための管理目標値として、HbA1c(NGSP値)7.0%未満が推奨されています。

2013年5月、熊本において日本糖尿病学会年次学術集会が開催され、新しい血糖コントロール目標が示されました。血糖正常化を目指す際の目標値としてHbA1c 6.0%未満、合併症予防のための目標値として7.0%未満、低血糖などの副作用やその他の理由で治療強化が困難な際の目標値として8.0%未満とする基準が示され、「熊本宣言2013」として社会にアピールしました。

<血糖コントロール目標>

目標 血糖正常化を
目指す際の目標
合併症予防の
ための目標
治療強化が
困難な際の目標
HbA1c(NGSP) 6.0%未満 7.0%未満 8.0%未満

是非この機会に、人間ドックや健診の結果などに記載されている血糖値とHbA1cをご確認いただき、今後の健康増進にお役立てください。

同友会からのご案内

参考文献:

  • 日本糖尿病学会編:糖尿病治療ガイド 2014-2015 文光堂, 東京, 9-25, 2014
  • 糖尿病診断基準に関する調査検討委員会:糖尿病の分類と診断基準に関する委員会報告(国際標準化対応版). 糖尿病 55 : 485-504, 2012
  • Ohkubo Y, et al : Intensive insulin therapy prevents the progression of diabetic microvascular complications in Japanese patients with non-insulin-dependent diabetes mellitus : a randomized prospective 6-year study. Diabetes Res Clin Pract 28 : 103-117, 1995.
  • The Diabetes Control and Complications Trial Research Group : The effect of intensive treatment of diabetes on the development and progression of long-term complications in insulin-dependent diabetes mellitus. N Engl J Med 329 : 977-986, 1993.
  • UK Prospective Diabetes Study (UKPDS) Group : Intensive blood-glucose control with sulphonylureas or insulin compared with conventional treatment and risk of complications in patients with type 2 diabetes (UKPDS 33). Lancet 352 : 837-853, 1998.

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