同友会メディカルニュース

2021年10月号
アナフィラキシーについて

アナフィラキシーとは

新型コロナワクチン接種にあたり最近、「アナフィラキシー」という言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか。今回はそのアナフィラキシーについて、解説したいと思います。

アナフィラキシーとは、「アレルゲン(アレルギーの原因となる物質)等の侵入により、複数臓器に全身性にアレルギー症状が惹起され(引き起こされ)、生命に危機を与え得る過敏反応」をいいます。命に関わり得る重いアレルギー反応のことで、原因となるアレルゲンは、身近な食べ物のこともあれば、初めて処方された薬剤であったり、ハチに刺されて惹き起こされることもあります。
また、「アナフィラキシーに血圧低下や意識障害を伴う場合」を、アナフィラキシーショックと定義しています。

アナフィラキシーの症状は? ~診断基準~

アナフィラキシーの症状は、皮膚・粘膜、上気道・下気道、消化器、心血管系、中枢神経系の内、2つ以上の器官系に出現します。

アテ

皮膚・粘膜症状はアナフィラキシーを起こす患者さんの80-90%に、気道症状は最大70%に、消化器症状は最大45%に、心血管系症状は最大45%、中枢神経系症状は最大15%に発現するとされています。どの症状が出るかや、どのような経過で発現するかはケースバイケースで、時には予測不能の経過を辿り、数分で死に至るような場合もあります。重篤なケースの場合、呼吸停止または心停止に至るまでの時間の中央値は、薬物で5分、ハチで15分、食物で30分、という報告があります。

アナフィラキシーの誘因

食物

日本では、鶏卵、乳製品、小麦、ソバ、ピーナッツによるものが多くなっています。
欧米では、ピーナッツなどのナッツ類が多いようです。
原因食物の摂取後数分以内に発症することが多いですが、30分以上経ってから症状が出る場合や、感冒・疲労・運動・入浴などに伴って誘発されることもあります。
また、食物依存性運動誘発アナフィラキシー(Food-dependent exercise-induced anaphylaxis ; FDEIA)と言って、特定の食物を食べてから運動をした時だけにアナフィラキシーを起こす場合もあります。これは、原因食物を食べただけ、または運動しただけ、では症状が出ないので、アナフィラキシーを起こして初めて食物アレルギーに気づかれることが多いです。

医薬品

抗生物質、解熱鎮痛剤、造影剤、麻酔薬、輸血製剤、抗ガン剤などの使用で生じます。抗生物質や解熱鎮痛剤は使用頻度が高いですが、すべての抗生物質や解熱鎮痛剤で症状が出ることは少なく、たとえば抗生物質ならペニシリン系やセフェム系、カルバペネム系など、解熱鎮痛剤ならNSAID(非ステロイド系抗炎症薬)など、どの種類の薬剤が原因でアナフィラキシーを来したのか、その詳細を今後のために覚えておく必要があります。
造影剤は、病院での検査の際に使用されますが、気管支喘息がある方はアナフィラキシーの重症化因子とされているので、検査を受ける際、担当医にその旨をお話ししてください。

昆虫(ハチ、アリ、ムカデなど)

短期間に2回刺傷されるとアナフィラキシーを生じやすいです。
住んでいる地域や職業によって、刺傷されやすい場合があります(林業・木材製造業従事者、電気工事従事者など)。
ハチ刺傷は、アシナガバチ、スズメバチ、ミツバチの順に多いです。

アナフィラキシーの治療法

アナフィラキシーが疑われた場合、すぐにアドレナリンの筋肉注射を行います。
呼吸困難や喘鳴がみられれば酸素投与を、血圧低下や脱水症状に対しては、下肢挙上や十分な点滴(生理食塩水の急速投与など)を、その他、気管支拡張薬の吸入、抗ヒスタミン薬やステロイドの投与などを症状にあわせて使用します。
アナフィラキシーを生じた場合、初期治療で症状が改善したとしても、遅延して再び症状が起きる(二相性アナフィラキシー)可能性もあるため、通常は経過観察のために入院が必要になります。
また、過去にアナフィラキシーを起こしたことがある、もしくは起こす危険があると思われる場合、緊急時に備えて医師からアドレナリンの自己注射薬(エピペン)を処方される場合があります。食品やハチ刺傷によるアナフィラキシーは、(病院以外の)自宅や屋外で起きる可能性が高いので、処方を受けた方は、万が一に備えて使用法を確認しておくことが大切です。資料によると、エピペンの使用により82.2%の人のアナフィラキシーの症状が改善しています。

余談になりますが、
新型コロナワクチン接種によるアナフィラキシーの頻度は、ファイザー社のワクチンで100万人に4.7人、モデルナ社のワクチンで100万人に2.5人と報告されています。
季節性インフルエンザワクチンは100万人に1.4人なので、それよりは頻度が多いですが、抗生物質では100万人に200~400人(約5000人に1人)、造影剤では数千人に1人とされていますので、決して薬剤の中で新型コロナワクチンが特にアナフィラキシーが出やすいというわけではありません。以前に他の物でアナフィラキシーを起こしたことのある人が約8割なので、食物でも薬剤でも、過去にアナフィラキシーの既往のある方は、接種後30分会場内で経過をみていただくことが必要です。

参考文献

  • アナフィラキシーガイドライン  一般社団法人 日本アレルギー学会
  • 注射剤によるアナフィラキシーに関わる死亡事例の分析  医療事故・調査支援センター  一般社団法人 日本医療安全調査機構
  • 新型コロナワクチン接種にともなう重度の過敏症(アナフィラキシー等)の管理・診断・治療   一般社団法人 日本アレルギー学会
  • 厚生労働省 「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する医療機関向け手引き(2.0版)」(令和3年2月24日)
  • JAMA. 2021.doi:10.100/jama.2021.1967

同友会メディカルニュース / 医療と健康(老友新聞)

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