同友会メディカルニュース

2023年2月号
身近な食物アレルギー(お菓子関連)

はじめに

2021年12月号では、①運動で誘発される食物アレルギーと②花粉症と関連する食物アレルギーについて解説しました。今回は、いろいろな食物アレルギーの中から、身近な食物である「お菓子に関連したアレルギー」について解説します。

1. パンケーキ症候群

世の中にはいろいろな種類のお菓子や軽食があります。寒い日には、ホットケーキやお好み焼きなどを食べたくなることもあると思います。これらの食材には小麦が使用されているため、小麦アレルギーの人が食後に全身性アレルギー症状が出ることは容易に理解できると思います。注意が必要なのは、小麦に対するアレルギーではなく、その食品に混入しているダニの経口摂取が症状発症の原因となりうることです。家庭で、家庭用のケーキミックス粉やお好み焼き粉などを開封後、常温で数ヶ月間放置しておくと、粉中でダニ(コナヒョウヒダニ)が繁殖することがあります。保存しておいた食材を使用して調理し、ダニアレルギーがある人が、ダニが混入している食材で作られたホットケーキやお好み焼きを食べるとダニに対するアレルギー反応により、アナフィラキシーを起こすことがあります。この病態を、「経口ダニアナフィラキシー(oral mite anaphylaxis)」、または、「パンケーキ症候群(pancake syndrome)」と呼びます。日本では実質「お好み焼き症候群」ですが、世界的には「パンケーキ症候群」と呼ばれています。

医療機関で確定診断された後の生活指導としては、家庭でお好み焼き粉・たこ焼き粉などを開封したら、開封後早めに使い切るか、自宅でこれらを保存する場合は、密閉した容器に入れ冷蔵庫内で保存してください。ダニは4℃の低温環境ではほとんど繁殖しないからです。レストランなどでの食事では、古い粉が使用されることは極めて稀で、当該疾患が発症した報告はありません。また、小麦に対する食物アレルギーではないため、小麦の摂取を制限する必要はありません。

(余談ですが、患者様に実際に摂取したお好み焼き粉を持参していただき一緒に検鏡するのですが、顕微鏡下で、粉の中を大量のダニが元気に動き回っている画像を見ていただくと皆さんとても衝撃を受けられます。ご自身持参の開封後のお好み焼き粉の袋の中にダニが繁殖していたことが忘れられず、その後は保存方法に気をつけて下さるため同じ疾患で再診されることはありません。)

パンケーキ症候群

2. 赤色色素(コチニール色素)アレルギー

代表的な洋菓子といえば、ケーキやマカロンなどのお菓子を食べる機会も多いかと思います。見た目が綺麗な洋菓子には、いろいろな色素が使われていることがあります。食品中の色素により発症する食物アレルギーは以前から知られていて、赤色色素であるコチニール色素が有名です。コチニール色素とは、南米産のサボテンに生息する雌のエンジムシ(別名:コチニールカイガラムシ)から抽出される赤色色素です(コチニール色素の主色素成分はカルミン酸で、不溶化したものをカルミンと呼びます)。化粧品の赤色染料として口紅やアイシャドウなどに使われたり、食品添加物として洋菓子、明太子、かまぼこなどの赤色食品に使われたりします。発症機序として、口紅やアイシャドウに使用されているコチニール色素に経皮感作された人が、赤色色素のコチニール色素を含有した洋菓子や飲料などを経口摂取することによって全身性アレルギー反応が誘発され、時にアナフィラキシーを呈することがあると考えられています。わが国の症例のほとんどは若年女性です。フランス産マカロンなど海外から輸入された食品摂取で発症した報告は少なくありません。医療機関で確定診断されたら、コチニール色素含有食品の摂取回避だけでなく、コチニール色素やカルミンを含有した化粧品の使用も回避してください。日本ではコチニール色素は食品添加物として表示義務が課されています。

赤色色素(コチニール色素)アレルギー

最後に

今回は、身近な食物である「お菓子に関連したアレルギー」として、①パンケーキ症候群と、②赤色色素(コチニール色素)アレルギー、について解説しました。食物アレルギーの中には、典型的でない臨床経過を示すものや、知らないと思いつかない病態を示すものがあります。今回は、お菓子関連を取り上げましたが、機会があれば、お食事関連(魚、肉、納豆など)のトピックについて解説したいと思います。

参考文献

  • アレルギー総合ガイドライン 2022 日本アレルギー学会
  • 食物アレルギー診療ガイドライン 2021 日本小児アレルギー学会
  • 成人食物アレルギー 2019 相模原病院 福富友馬
  • 年代別食物アレルギーのすべて 2018 相模原病院 海老澤元宏
  • 食物アレルギーの基礎と対応 2018 アレルギー疾患ネットワーク
  • アレルギー診療 2019 永田真 編

同友会メディカルニュース / 医療と健康(老友新聞)

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