同友会メディカルニュース

2018年7月号
大人の麻疹(はしか)―あなたは抗体を持っていますか?

沖縄や名古屋で麻疹(はしか)の感染者が相次ぎ、話題となりました。麻疹はインフルエンザの10倍の感染力を持ち、免疫を持たない人がウイルスに接触するとほぼ100%感染します。国内由来の麻疹はワクチンによって制御されていましたが、海外からウイルスが持ち込まれる機会が増え、2018年は昨年を上回るペースで感染者が報告されています(表)。沖縄では3月から5月にかけて99人の感染者が出ましたが、これは台湾からの30代男性旅行者が持ち込んだウイルスが原因でした。

<表> 国内の麻疹患者数(人)

2008年 11,013
2009年 732
2010年 447
2011年 439
2012年 283
2013年 229
2014年 462
2015年 35
2016年 165
2017年 189
2018年 173

※国立感染症研究所調べ。2018年は6月10日現在

どんな症状?治療は?

麻疹というと子供の病気という印象が強いかもしれませんが、実は上記の麻疹患者の半数以上は成人です。成人が麻疹に感染すると子供より重症化しやすいと言われており、以下のような症状を引き起こします。

感染

10~12日の潜伏期間を経て発症。

矢印
前駆期
咳、鼻水、のどの痛み等、風邪に似た症状が2~4日続く。口の中に白いぶつぶつができる。
矢印
発疹期
39度を超える高熱が出て、全身に発疹ができる。
矢印
回復期
重症化しなければ発症してから7~10日で回復。赤い発疹は黒ずんだ色素沈着となり、しばらく残るが、やがて消えていく。

肺炎や中耳炎を合併しやすく、重症化すると脳炎を引き起こし、まれに死亡することもあります。治癒後数年~10 年程度経ってから、10 万人に 1 人程度の割合で亜急性硬化性全脳炎という難病を発症することがあります。また、妊娠中に麻疹に感染すると流産・早産・死産が3~4割の確率で起こるので注意が必要です。

もし麻疹を発症したかもしれないと思われた時は、医療機関に電話連絡した上で、公共交通機関の利用をなるべく避けて受診してください。麻疹であった場合、特効薬はありませんので、症状を抑えて体力を回復させる治療が中心となります。

一度感染して発症すると、抗体ができて生涯免疫が続くとされています。

生まれ年とワクチンについて

麻疹はマスクや手洗いでは防ぎきれず、予防のためにはワクチン接種が有効です。2006年以降は2回の定期接種(強い推奨であり、強制ではない)となっていますが、それ以前は任意接種だったり1回接種だったり、生まれた年代によって接種状況が違います。

① 1977年以前
麻疹のワクチン接種は1966年に始まりましたが、1978年に定期接種となるまでは任意でした。このため、この年以前に生まれた人の多くはワクチン接種を受けていません。しかし、この時代は自然感染で麻疹にかかる機会が多かったため、自然に生涯免疫を獲得している可能性が高いです。
② 1978年から2005年
この時代は1回の定期接種だったので、十分な免疫力がついていない可能性があります。ただし2007年に麻疹の大流行があり、翌年から5年間、1990年~1999年生まれの人には追加接種の機会が設けられましたので、その時に2回目を受けているかもしれません。
③ 2006年以降
1歳と5~6歳の2回の定期接種となっているので、ちゃんと受けていれば生涯免疫を獲得できていると考えられます。

麻疹にかかったことがない方は、母子手帳などでワクチンの接種回数をご確認ください。ワクチン接種を2回受けたことが確実でない場合は、ぜひワクチン接種を受けることを検討しましょう(特に妊娠を希望されている方とそのご家族)。

ワクチン接種を希望される場合、保険が効きませんので自費診療となります。実施医療機関によって異なりますが、数千円から1万円程度です。一部助成金が出る自治体もあります。

自分が麻疹に感染したことがあるかわからない、ちゃんと免疫が獲得できているかわからない場合、採血で抗体検査を受けると確認することができます。ただしこれも自費診療で数千円かかります。抗体検査をご希望の方は外来でご相談ください。

おわりに

東京オリンピック・パラリンピックの開催も控え、日本を訪れる海外旅行者は急増しており、麻疹ウイルスに接触する機会も増えることが見込まれています。麻疹はワクチン接種を受けていれば怖くない感染症ですので、ぜひこの機会にワクチンの接種状況や免疫獲得状況をご確認ください。

参考サイト:

同友会メディカルニュース / 医療と健康(老友新聞)

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