同友会メディカルニュース

2014年1月号
『胸やけ、げっぷ』 ありませんか?

逆流性食道炎とは?

食べ過ぎたり、飲み過ぎたりした時、「胸やけ」を感じた経験は、多くの方が持っているかと思います。酸性度の強い胃酸を含む胃の内容物が食道に逆流することで、食道の粘膜に炎症が起きる状態を「逆流性食道炎」といいます。逆流症状と食道炎が必ずしも一致していないこともあり、総称して胃食道逆流症(GERD:gastroesophageal reflux disease)といいます。食道にびらんが認められないのに逆流症状が存在する場合は、非びらん性胃食道逆流症(NERD:non erosive reflux disease)と呼びます。食道には、胃酸に対する防御機能がないため、酸に繰り返しさらされることで炎症を起こし、胸が焼けるような感じ、げっぷ、むかむかする、何かあがってくる感じ、口が酸っぱい感じなどの不快な症状の原因となります。時に胸痛や咳を伴うこともあり特に高齢者では診断が難しいこともあります。欧米では成人の40%がGERDに罹患していると言われています。1990年代以降日本でも、食生活の欧米化やピロリ菌の感染率低下などによる胃酸分泌の増加の結果、GERD患者が増加しています。かつては高齢者の病気でしたが、最近では若い世代の患者も増加しており今後ますます増えると思われます。

疾患の概念

いろいろな原因

原因として考えられるものは、主に①(胃から食道への逆流を防いでいる)下部食道括約筋の機能の低下 ②胃内圧の上昇 ③胃酸分泌の増加 ④食道知覚過敏といえます。食道胃接合部は噴門とよばれ、正常な噴門は食道に胃酸が逆流するのを防ぐ役割を果たします。加齢による下部食道括約筋の機能低下や食道裂孔ヘルニア(横隔膜の食道が貫いている部分を通して胃の上部が胸の方へ脱出していること)がある場合は食道に胃酸が逆流しやすくなります。肥満や前かがみ姿勢によって起こる胃内圧(腹圧)の上昇も逆流症状の原因になります。またアルコール、喫煙、高蛋白高脂肪食、過食による胃酸過多がおこり一過性に下部食道括約筋が弛緩することも誘因になりえます。ピロリ菌感染により慢性胃炎になると胃酸分泌が低下しますが、胃酸分泌の多いピロリ菌非感染者ではGERDを起こしやすいといえます。ただGERDにはいろいろな原因因子が絡むので一概にはいえません。非びらん性胃食道逆流症(NERD)は、ストレスなどによる酸に対する食道の知覚過敏が主な原因といわれています。内視鏡を受けていただくと、胃と食道の境界部に炎症があるかどうか確認ができ、重症度も診断できます。程度が軽いと症状がほとんどない場合も多いですが、健診受診者の約14%は内視鏡検査で食道炎の所見を認めます。胸やけなどの症状が続く場合は、食道がんやその他の病気がないか確認するために内視鏡を受けることをおすすめします。

GERDの原因

生活の質(Quality of life)の改善を!

最近は睡眠障害との関係も指摘されています。日本ではGERD患者の半数以上が睡眠障害を有しており、特に非びらん性食道炎(NERD)患者と関連が強いと報告があります。もちろん、胸やけがあると睡眠障害にもつながりますが、睡眠障害が食道知覚神経過敏を介してGERD症状を悪化させることも分かっています。欧米に比べれば軽症のGERD患者が多いですが、生活の質を著しく落としたり、重症化することもあるため適切な治療が必要です。治療の第一選択薬は、プロトンポンプ阻害薬(PPI)による強力な胃酸分泌抑制ということになります。内服後は比較的速やかに大部分の方は症状が改善していきます。中には長期に内服していないと再度逆流症状がでる場合もありますので、主治医と御相談ください。日常生活の注意点として、①過食や早食いを避けて食後3時間以上あけて就寝 ②就寝時に上半身30度(枕を高くして寝る)、③肥満を改善する という日常生活の改善も非常に重要です。胸やけや呑酸などの不快な逆流症状がある方は一度医療機関を受診していただくことをおすすめいたします。

参考文献:

  • Fujiwara Y, et al: Epidemiology and clinical characteristics of GERD in the Japanese population: J Gastroenterol. 2009;44(6)
  • Mody R, et al: Effects of gastroesophageal reflux disease on sleep and out-comes Clin Gastroenterol Hepatol 7:953-959:2009
  • Schey R, et al:Sleep deprivation is hyperalgesic in patients with gastroesophageal reflux disease. Gastroenterology 133:1787-1795:2007

同友会メディカルニュース / 医療と健康(老友新聞)

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