同友会メディカルニュース

2017年1月号
食塩摂取量気にしていますか?

年末年始何かと忙しく、インスタント食品やコンビニ弁当、ファーストフードなど味の濃い食事が多くなりがちな時期と思います。インスタント食品や色々な食品に、栄養成分表示としてナトリウムや食塩相当量の表示がされています。これは食品表示法という法律に則って、一般の消費者に販売する加工食品・添加物への義務表示で、ナトリウム(表示するときは食塩相当量)の表示が含まれています。食事に含まれるナトリウムは食塩(塩化ナトリウム)が主ですが、食塩を含有する調味料、加工食品中のナトリウム化合物などとしても摂取しています。食塩相当量とナトリウムは次の式で計算できます。

食塩相当量(g) = ナトリウム(g) × 58.5/23 = ナトリウム(g) × 2.54

ちなみにあるインスタントラーメンには1食当たりナトリウム2.1g、食塩相当量5.3gと表示がありました。インスタントカップスープにはナトリウム638mg、食塩相当量1.6gの表示がありました。海苔の佃煮には1食分10g当りナトリウム270mg、食塩相当量0.7gの表示がありました。またファーストフードの代表であるハンバーガーは各社がホームページでメニューごとの食塩相当量を公表していますが1個2.0~4.0gです。(ちなみに海水の塩分濃度は3.5%。水100mlに食塩3.5gです。)

ご自身が1日に何グラムの食塩を摂取しているか意識したことがありますか? ナトリウムは、小腸で吸収され、ナトリウム摂取量に応じて、90%以上は腎臓から排泄されます。成人のナトリウム不可避損失量(全くナトリウム摂取しない時に失われるナトリウム量)は、約600mg/日(食塩相当量1.5g/日)で、通常の食事で日本人の食塩摂取量が1.5g/日を下回ることはないとされています。食塩摂取については、通常の食事で欠乏を考慮する必要はなく、摂取過剰が問題になります。高血圧症の発症予防や治療に過剰な食塩摂取を改善することが重要であることとされています。食塩摂取量は6g/日前半までとしなければ血圧を下げたりする効果は得られないとされ、WHO(世界保健機関)が成人の食塩摂取量として強く推奨しているのは5g/日未満です。世界の主要な高血圧ガイドラインや日本高血圧学会の高血圧治療ガイドラインでも減塩目標は6.0g/日未満とされています。

年齢別1日食塩摂取量(2014年)

平成26年国民健康・栄養調査報告 厚生労働省第91表2 食塩摂取量の平均値の年次推移より

一方で平成28年3月に発表された平成26年国民健康・栄養調査によると、平成26年の食塩摂取量は10.0g/日(男性10.9g/日、女性9.2g/日)でした。年々塩分摂取量は減少傾向で、10年前と比較すると1.0g/日以上減少しています。厚生労働省は「日本人の食事摂取基準」を5年毎に策定し、平成26年3月に公表された2015年版では、高血圧の予防・治療には食塩摂取量6.0g/日以下が望ましいとしました。しかしながら食塩摂取の多い食事に慣れた日本人にとっていきなり6.0g/日の目標は実現困難です。そこで厚生労働省は2015年から5年間の食塩摂取量の目標値を成人男性9g/日未満、成人女性7.5g/日未満と設定しています。ご存知でしたか?

ユネスコ無形文化遺産に登録されている和食。昔から和食の調味料は“さしすせそ”が基本とされ、これは、さ(さとう、砂糖)、し(しお、塩)、す(す、酢)、せ(せうゆ、醤油)、そ(みそ、味噌)です。砂糖に少し塩が混ざると甘みが増します。あんこやぜんざい、スイカに塩を少し振ると甘みが増したように感じます。酢も塩がはいると酢の角が取れ素材の味がよりわかるようになります。味噌、醤油にはもともと塩が入っています。和食は塩を基本とした調味料を上手に使っているともいえます。それだけ塩を摂取する食生活に慣れ親しんでいます。食塩は他の味と混じり溶け込むと必ずしも“塩っぱい”とは感じません。ポテトチップスなどで直接食塩の粒が舌に触れると塩味を敏感に感じますが、液体に溶け、他の調味料と混じると塩気が感じにくくなります。日本では、病院に入院して治療食として出てくる食事が減塩6gです。 WHOの推奨する食塩摂取量より多いのです。日本人で食塩摂取量が習慣的に5g/日未満の方は極めてまれと推測されています(前述の日本人の食事摂取基準より)。日本人のほとんどの方は食塩摂取6g/日未満の食事は、味が薄い、美味しくないと感じると考えられます。

一般にヒトの味覚は年齢とともに低下、特に塩味に対する感受性が低下しやすいと言われています。これまでと同じ味付けでも味がしない、美味しくないと感じます。食塩だけ少なくし、他の調味料を増やしたのでは味のバランスが崩れてしまいます。全体の味付けがだんだん濃くなっていきます。年齢とともに食塩摂取量は増加しています(グラフ)。70歳以上で食塩摂取量が減っているのは、全体の食事量の低下のためと考えられます。以前はあんなに美味しかったお気に入りのお店で外食でのご馳走も“昔は美味しかったのに、味が落ちたね。”なんてことになります。お店の味が落ちたのではなく、ご自身の味覚が低下してきているのかもしれません。ご家庭の料理もだんだん味付けが濃くなりがちです。もともと濃い味付けに慣れていると何を食べても味がしない、美味しくないと感じてしまうようになるかもしれません。食欲の低下は、老化の始まりにつながります。濃い味を好むか薄味を好むかは、習慣によります。

できるだけ早く塩分の薄い味に慣れておくことが体のためにも、長く美味しい食事を楽しむためにも大変重要だと考えます。最近は醤油も味噌も減塩のものがたくさん販売されていて、美味しい減塩醤油や味噌を探すことができます。素材そのものの味や和食のうま味を感じるよう味を楽しんでみてはどうでしょうか?

今日から食塩摂取量を意識してみませんか?

同友会メディカルニュース / 医療と健康(老友新聞)

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