同友会メディカルニュース

2016年2月号
過敏性腸症候群について

1.現代病『過敏性腸症候群』について

「通勤電車の中で急におなかが痛くなりトイレに駆け込んだり、仕事が忙しくなると便秘が続いて困る」といった症状を経験した方が多いと思います。ストレスなどの心理的要因も影響し、下痢または便秘を来たしたり、下痢と便秘を繰り返したりする病態を過敏性腸症候群といいます。腸管には基本的に器質的な異常は見つからず、腸管の蠕動運動などの機能面に異常を来たすことで、症状が出現します。消化器内科を受診される5人に1人くらいは過敏性腸症候群ともいわれています。まさにストレス社会である先進国に多い現代病であり、誰にでも起こりうる病気といえます。
診断は従来よりRome基準というものが用いられています。現在は、2006年に作成されたRomeIII基準が用いられております。

表1.ROMEⅢ基準
反復する腹痛または不快感が、最近3ヶ月のうち少なくとも1ヶ月に3日以上存在し、しかもそれらの症状が以下の3つのうち2つ以上を伴うこと。
  • 1.症状が排便により軽快する
  • 2.症状の発現が排便頻度の変化を伴う
  • 3.症状の発現が便性状の変化を伴う

過敏性腸症候群は便の形状によりさらに4つに分類され、「便秘型」、「下痢型」、便秘と下痢を繰り返す「混合型」、そしてどれにも分類されない「分類不能型」に分けられます。

表2.分類
  • 1.便秘型  硬便または兎糞状便が25%以上、軟便または水様便が25%未満
  • 2.下痢型  軟便または水様便が25%以上、硬便または兎糞状便が25%未満
  • 3.混合型  硬便または兎糞状便が25%以上、軟便または水様便も25%以上
  • 4.分類不能型  便性状異常が上記いずれも満たさないもの

排便頻度より便の形状により分類されることがポイントです。男性では下痢型、女性では便秘型が目立ちます。
炎症性腸疾患や大腸がんなどの除外診断は必要ですので、一度は大腸内視鏡検査をおすすめします。

2.腸脳相関

過敏性腸症候群は、ストレスや生活のリズム、腸内細菌の乱れなどが微妙にかかわって発症します。腸と脳は密接な関連があり、お互いに情報を伝え合って機能しています。脳の中枢神経は、腸の運動や分泌、免疫機能、血液の流れなどを調節し、腸からも脳に情報が伝達されています。私たちがストレスを感じると脳から腸にその情報が伝えられます。すると腸の運動を亢進させるだけでなく、腸内細菌のバランスにも影響を及ぼすのです。過敏性腸症候群では、「消化管の運動異常」と「内臓知覚過敏」と「心理的要因」の3つが密接に関わっています。ストレス負荷時の大腸運動の異常が遷延したり、消化管の内臓知覚過敏性が亢進しています。うつや不安障害などの情動変化を合併することもよくあります。

3.改善方法

過敏性腸症候群の原因はストレスだけではなく、食生活や睡眠などがあり、こうした生活リズムの乱れは、腸の症状にも大きく影響してくるといわれています。心身両面のセルフコントロールを身につけ、バランスのいい生活を送ることこそ、予防&治療の第一歩です。おなかの不調を感じたら、ストレスと上手に向き合いながら、ふだんの食事内容やバランス、食事時間なども見直してみましょう。薬物療法では、腸内環境を整える「乳酸菌製剤」や、消化管の動きを調節する「消化管運動調整薬」、腸の異常な運動を抑えて腹痛を和らげる「抗コリン薬」などがあります。便秘型や混合型の人は状態に合わせて、便を柔らかくする下剤や、便の性状を整える「高分子重合体製剤」を追加します。心理状態によっては「抗うつ薬」や「抗不安薬」が有効なこともあります。専門外来で御相談ください。

参考文献・サイト:

  • 過敏性腸症候群―脳と腸の対話を求めて.182-192,2006
  • Vakil N, van Zanten SV, Kahrilas P, et al : Am J Gastroenterol 101 : 1900-1920, 2006
  • N Engl J Med 2011; 364:22-32January 6, 2011

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