保健師コラム 小石川の健康散歩道

第6回 お風呂好きは日本人だけ?

保健師 折野 順子

立春を過ぎたとはいえ、まだまだ寒さの厳しい日が続いていますね。
冷たい風に当たって帰宅した時の楽しみは何と言っても温かいお風呂ですね。
みなさんもお風呂で温まっていますか?

みなさんは、なぜ湯船につかると気持ち良いのか考えたことはありますか?
それは、入浴には3つの効果があるからなのです。
1つは温熱作用によるものです。お湯につかると当然温まりますよね。温まると血管が広がり血流が良くなります。それによって、体内の老廃物や疲労物質が取り除かれ、疲れがとれるのです。
2つめは水圧作用によるものです。湯船の中ではウエストが3~6㎝も細くなるほど圧力がかかります。この圧力で足にたまった血液が押し戻され、心臓の動きを活発にし血液の循環を良くします。
3つめは浮力作用によるものです。海やプールに入ると体が浮きますが、湯船の中でも浮力が働き体重は約9分の1になります。すると、筋肉や関節の負担を減らしますので、体の緊張がとれ気分がリラックスするのです。

身体と心がリラックスできる入浴タイムをさらに楽しく過ごすために、私が時々行っていることがあります。
まず、火をつけたキャンドル(よくレストランで見かけるロウがこぼれないタイプのもの)を湯船の淵に置きます。そして照明を消し、おもむろにお湯につかります。もちろん、良い香りにする入浴剤も入れます。これで露天風呂気分に浸れますので、ぜひお試しください。

しかし、入浴による事故には気を付けたいですね。 急激な温度差がもたらす身体への悪影響、いわゆるヒートショックに関連した入浴中の事故は、年間に17,000人にも及ぶそうです。多くは高齢者ですが、若い人も油断できません。 ヒ-トショック対策として心掛けていただきたいことは、入浴時に脱衣所を温める、湯船のふたを開けるなどで浴室の温度を上げておく、かけ湯やシャワーで身体を少し温めてから湯船に入る、お湯の温度は40~42℃を保つなどです。もちろん、お酒を飲んだ後の入浴は危険ですのでやめてください。また、入浴中は意外と汗をかきますので、入浴前後にコップ1杯程度の水を飲むことをおすすめします。 1日の疲れをその日のうちにとってくれる入浴を安全に楽しみたいですね。

私は時々、1年中シャワー浴で済ませるという話を伺うことがあります。
それで、どのくらいの人がシャワー浴中心の生活をしているのか調べてみました。
東京圏の調査では、1年中シャワー浴しかしないまたはシャワー浴が多い人は全体で18.6%だそうです。特に20歳代は32.2%の人がほとんど湯船に入らないようです。
また、地域差もあるようです。
大阪圏での調査では、1年中シャワー浴しかしない、またはシャワー浴が多い人は全体で12.8%で、同じ20歳代でも21.5%です。
何かとせわしない東京圏に住むと入浴時間も短時間で済ませる人が多くなるのでしょうか。身体の汚れを落とす目的だけでしたら、シャワーでも済んでしまうので便利さを重視しているのかもしれません。
どうやら同じ日本人でも住んでいる地域によって入浴習慣がかわってくるようですね。

また、日本人以外で日本のような入浴習慣があるのはローマ人だそうです。
以前「テルマエロマエ」というローマ時代の浴場設計技師がタイムスリップして現代にやってくるという映画がありましたが、ご覧になった方もいらっしゃるかと思います。ローマ時代に作られた共同浴場は社交場、娯楽施設として大衆に親しまれていたらしいので、日本の銭湯や温泉と似ていますね。しかし、キリスト教の発展とともに入浴文化が衰退していったようです。もし、今でも入浴文化が残っていたら、イタリアを旅行するときの楽しみの1つになっているのにと残念に思っています。

では、今日もゆったりと湯船に身体を沈め、「日本人に生まれて良かったあ」と実感してください。

参考資料:現代人の入浴事情2012(東京ガス株式会社 都市生活研究所)
     朝日新聞

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