同友会メディカルニュース

2016年6月号
お薬手帳利用していますか?

2016年4月から診療報酬改定が行われました。診療報酬は、健康保険法により厚生労働省が公示する診療報酬点数(1点10円)に沿って行われる保険診療に対する公定価格です。保険医療機関(病院、医院、歯科、薬局など)は、診療報酬請求のルールと点数に従って診療報酬を請求し、収入としています。政府は医療政策に従って2年毎に診療報酬の改定を行っています。この改定に伴い患者さんが医療機関受診時窓口で支払う金額も変わる場合もあります。

2016年4月からの診療報酬改定で、お薬手帳に関する改定が行われました(1)。 これまでは薬剤服用歴管理指導料は、お薬手帳を利用した場合410円、利用しない場合は340円でむしろお薬手帳を利用しない方が“お得”のように言われていましたが、今回お薬手帳を持参した場合は、持参しなかった場合と比べて薬剤服用歴管理指導料が120円安くなるように改定されました。ご存知でしたか?

お薬手帳は、1993年ソリブジン薬害事件という別々の医療機関から処方された薬の飲み合わせが悪く副作用のため患者さんが亡くなった事件をきっかけに考案されました。薬の飲み合わせなどを確認し、一元管理するために一部医療機関、調剤薬局でサービスとして導入されました。お薬手帳は、複数の医療機関で処方されている薬が一覧でき、これまでの処方歴、薬剤のアレルギー、主な病歴などの情報が記載され、もちろんご自身での体調管理として記載可能です。1995年阪神淡路大震災時、非常に混乱した状況で限られた医療を行う際に、内服薬の確認や病歴の確認など迅速に、正確に対応出来るお薬手帳の有用性は広く認知されるようになりました。2000年には診療報酬改定で手帳記載加算として、お薬手帳は国の正式な制度になりました。2011年東日本大震災においても、避難所などで様々な医療情報をお薬手帳に記載することで効率的な、継続性の確保された医療を受けることができ災害時のお薬手帳の有用性が再認識されました。2014年の診療報酬改定でお薬手帳を持参した場合、薬剤服用管理指導料が加算され患者さんの支払額が高くなることになりました。今回2016年の診療報酬改定で厚生労働省は、“医師・薬剤師の協力による取組を進め、残薬や重複投薬、不適切な多剤投薬・長期投薬の削減を推進。 服薬情報の一元的把握とそれに基づく薬学的管理・指導が行われるよう、 かかりつけ薬剤師・薬局の機能を評価するとともに、かかりつけ機能を発揮できていないいわゆる門前薬局の評価の適正化等を推進。”(2)をかかげて実効性のあるかかりつけ薬局、お薬手帳の運用のため、お薬手帳を持参した場合患者さんの支払額が安くなるように改定しました。具体的には薬剤服用歴管理指導料が、お薬手帳を持参した場合は380円(前回から30円引き下げ)に減額されます。お薬手帳を持参しなかった場合は500円(前回から160円引き上げ)になりました。ただしお薬手帳持参で管理指導料が減額されるのは、原則過去6カ月以内にお薬手帳を持参して同じ薬局を繰り返し利用した場合で、これはかかりつけ薬局を推進する目的によるものです。

2016年4月14日から始まった熊本地震でもお薬手帳の有効性は確認され、被災した方々への迅速、正確な薬剤供給に大きな役割を担い、その重要性は東日本大震災に続いて再認識されました。移動を余儀なくされる避難生活の中でどこに移動しても正しく医療情報が次の医療機関に伝わり、いわば自分のカルテを持ち歩いているような利用がされています。今後の診療報酬改定にもお薬手帳の有用性が一層反映されていくものと思われます。今回の診療報酬改定では電子化されたお薬手帳でも診療報酬算定がされるようになりました。厚生労働省は統一された仕様の電子お薬手帳の検討も行っています。電子記録としてカード型のお薬手帳やスマホアプリになれば、いつでもどこでも携帯できて、いつどこで遭遇するかわからない震災や災害に際してもお薬手帳を携帯できる可能性が高くなるかもしれません。本格的な高齢化社会を迎え、複数の疾病、複数の医療機関を受診している患者さんはさらに増加することは必至です。震災、災害対策だけでなく日々の生活の中でも医療機関を受診する時、安全で質の高い医療サービスを受ける上でお薬手帳はますます重要なツールとなります。

いつ遭遇するかわからない震災・災害に備えて、お薬とお薬手帳活用について今できる幾つかの提案があります。

① まずいつも内服している薬は2週間分が常に手元にあるようにしておきましょう。
震災・災害時すぐに薬を入手することは困難です。震災直後必要な薬が手元になく、薬に確保のために多大な労力を費やすこと或いは内服の継続ができないことには非常な危険が伴います。内服薬は2週間分の余裕を持って次の薬を処方してもらうようにしましょう。
② ご自宅ではお薬手帳はいつも持ち出しやすいところに置いておきましょう。
できれば今内服している薬の薬剤情報提供書(薬局でもらう薬の説明が書いてある紙)はコピーをして、車のダッシュボードの中、会社のロッカーに一枚入れておきましょう。
③ お薬手帳、または薬剤情報提供書を携帯、スマホで写真に撮っておきましょう(写メ)。
万が一の時お薬手帳が手元になくても携帯・スマホがあればとりあえずお薬手帳の内容が確認できます。
④ ご家族にも同じように写メして保存してもらいましょう。
お薬手帳も携帯・スマホも持ち出せなかった時ご家族からメール添付してお薬手帳の内容が確認できます。

身体活動

お薬手帳を上手に利用して、安全で効果的な服薬管理をしましょう。そして震災、災害など万一の場合にも内服継続ができるように備えておきましょう。

  • 参考文献・サイト:
  • 1) http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000112306.pdf
  • 2) http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000106247.pdf

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