同友会メディカルニュース

2015年11月号
「胆管がん」ってどんな病気?

最近、大手ゲーム会社の社長や女優の方が、50代半ばにして「胆管がん」で相次いで夭逝された事をニュース等で見聞された方も多いのではないかと思います。また、2012年に大阪の印刷工場で化学物質による「職業性胆管がん」が注目を集めた事を御記憶の方もいらっしゃるかもしれません。日頃あまり耳目にすることのないかもしれないこの病気、弊会ニュースでもこれまで登場していませんでしたが、今回を機に是非関心を持って頂きたいと思い取り上げてみます。

最初に、そもそも「胆管」がどこでどんな役割を担っているのか今一つピンとこない方もいらっしゃるかもしれませんが、胆管は文字通り「胆汁の通り道の管」の事で、肝臓で作られた胆汁(主に脂肪の消化分解の手助けをする消化液)は一度胆嚢(たんのう)に蓄えられ、食事の刺激で胆嚢から胆嚢管、総胆管を通って十二指腸内に出ていきます(図1)。先月のメディカルニュースのテーマであった膵臓から出る膵液も、この胆管に途中から合流する仕組みになっています。

図1:胆管のしくみ

胆管がんはもちろんこの胆管から発生するがんなのですが、胆嚢と胆管、及び胆管の出口である十二指腸乳頭部のがんをまとめて「胆道がん」と総称します。(実は厳密には、胆管のうち肝内胆管から発症するがんは集計上肝臓がんに分類されるのですが、病気の特性としては今回の胆道がんと同じとお考え下さい。)

胆道がんは肺がんや胃がん、大腸がんなどと比べるとやや知名度に劣りますが、実は日本人のがん死亡数で第6位であり、高齢化に伴って今も増え続けているがんという事になります(図2)。50歳以上の男性に多いとされていますが、罹患(病気にかかる)数が23,606人(2011年)に対して死亡数は18,225人(2013年)にも及び、予後(見通し)の指標とされる「5年生存率」で見ても21.1%と、膵臓がんに次いで低い事が知られています(図3)。女性のがんとして注目を集める事の多い乳がんと比較しても死亡数が多く、また5年生存率でも大きな差がある事が分かります。

図2:悪性新生物による部位別死亡数

図3:がん5年生存率の相対比較

胆道がんは地域特異性が高く、元々東アジア・中南米・東欧に多いとされていましたが、日本で増加している要因には高齢化の他にチーズ・マーガリン・フライ・牛乳などの脂肪摂取や肥満、糖尿病、高齢初産といった、生活環境やライフスタイルの変化も影響しているようです。また胆道がんの根本的な原因は胆道粘膜への持続的刺激や炎症にあるので、膵・胆管合流異常や原発性硬化性胆管炎といった基礎疾患を有する人は、予防的に手術に踏み切ったり、あるいは厳重な経過観察が必要になります。

この病気の予後がここまで悪いのには複数の要因がありますが、まず一つは初期には自覚症状(黄疸、上腹部痛など)に乏しく早期診断が困難であるため、手術不能な進行がんの状態で見つかる事も珍しくないという事が挙げられます。また仮に手術が可能であっても、がんの部位によっては膵臓の一部や肝臓の半分を一緒に切除する大手術が必要な事も多く、総じて負担や危険が大きくなりがちです。高齢の方や転移などで手術ができない場合は抗がん剤や放射線治療もありますが、他のがんに比べて効きにくい事が知られています(奏効率19.5~34%)。

ここまで読むとほとんど打つ手がないようにも思えますが、胆道がんであってもより早い段階(stage)で発見出来れば、かなり高い5年生存率が期待出来る事も分かっています(図4)。自覚症状が当てにならないとなると健診で早期に発見したいところですが、初期では採血で胆道系酵素(T-Bil, ALP, γ-GTなど)の上昇を伴うとは限らず、腫瘍マーカーも早期診断に有効とまでは言い切れません。低侵襲で比較的簡便なため推奨される腹部超音波検査でも、胆管がんの描出率は21~90%と部位によってかなり幅があり、直接腫瘤を描出するよりも胆管拡張や胆嚢腫大といった間接所見を捉える事が重要とされています。

図4: 胆道がんの5年生存率

結局のところは、自覚症状や採血データ、画像検査の直接・間接所見といった結果を総合的に組み合わせて兆候を少しでも早く掴むしかないと言えますが、その際に有効と考えられているのがMRCP検査です(図5)。MRCPというとMR機器を用いた膵臓の検査という印象をお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、「MR胆管膵管造影」が正式な名称であり、胆管の拡張や狭窄の診断にもとても有用です。当クリニックのように高磁場のMR機器を導入した健診機関も増え、より精度の高い結果が得られるようになってきていますので、気になる方は健診の際に併せてお受けになる事をお勧めいたします。

MRC
春日クリニック  膵臓がん・胆管がん検査のご案内
http://www.kasuga-clinic.com/option_suizougan/

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