同友会メディカルニュース

2011年4月号
「脂肪肝なんて」と軽く考えていませんか

健康診断で腹部超音波検査や採血を受けると、「脂肪肝があって、肝臓の数値が少し上がっていますね」と言われた事のある人は結構多いと思います。実際に脂肪肝は受診者の約3割で指摘されるとも言われていますから、仮に自分がそうでなくても周りを見渡せば身に覚えのある方はきっといらっしゃるでしょう。あまりに一般的なので脂肪肝はそんなに怖いものではないとつい思いがちですが、実際はそうでもないぞというお話をさせて頂きたいと思います。

脂肪肝の原因として最も知られているのはアルコールです。個人差もありますが、一つの目安としては一日にビールなら1500ml、日本酒なら3合を5年以上飲み続けた場合に肝臓に障害を来すと言われています。限度を超えたアルコール量をそのまま飲み続けるとアルコール性脂肪肝から肝炎、肝硬変と進み、最後には肝不全や肝がんに至る事もあるので、脂肪肝というとアルコールがすぐ連想され、とにかくアルコールを減らせばいいように思われがちです。

確かに肝障害がある人でアルコールを飲む場合はまずそれを減らす事が第一なのですが、その一方で、お酒はほとんど飲まないのに脂肪肝を指摘される人もいます。非アルコール性脂肪性肝疾患(nonalcoholic fatty liver disease, NAFLD)と言われ、肥満の方に多いので「メタボ肝」の所見として一応注意は受けても、これまでアルコール性肝障害ほど重要とは考えられていませんでした。

しかし近年になって、この非アルコール性脂肪肝の中に、まるでアルコールを飲んでいる時と同じように肝炎、肝硬変、肝がんに進行していくタイプも少なからず含まれる事が分かってきました。非アルコール性脂肪肝炎(nonalcoholic steatohepatitis, NASH)と呼ばれていて、アルコールが原因でない脂肪肝の人の中で実に10~20%がこのNASHになり、更にNASHのうち5~20%が5 ~10年の間に肝硬変まで進むとされています。これまでアルコール性や原因不明とされてきた肝硬変の中には、実際はNASHが関与しているものがかなり含まれていると考えられています。NASH肝硬変からの肝がん発生率は5年で最大15%程度とされ、決して低いとは言えません。

同じ非アルコール性脂肪肝でNASHになる人とならない人、またNASHの中でも肝硬変や肝がんまで進行する人とそうでない人がいるのですが、その仕組みや違いもまだ詳しくは分かっていません。肥満や糖尿病、脂質異常などでまず脂肪肝になっているところに、内臓脂肪由来の酸化ストレスや遺伝的素因などの複数の要因が絡んでNASHに進展するのではないかと考えられていて、two-hit theory(二段階説)と呼ばれています(図1)。またNASHの予後は不変(横ばい)30~50%、改善15~30%、悪化30~40%ぐらいに分かれていきますが、糖尿病、高度肥満、高齢、是正されない生活習慣、採血でAST値が80IU/L以上などが重なると悪化の方向に進みやすいようです。

図1

そうなると自分の脂肪肝が普通の脂肪肝(単純性脂肪肝と言います)なのか、NASHなのかが気になるところですが、はっきり診断をつけるためには肝生検(肝臓に太い針を刺して組織を採取して調べる事)が必要であり、入院が必要で体に負担も大きく、気軽に出来る事ではありません。また仮に肝生検でNASHと診断されても、単純性脂肪肝でよくすすめられる食事・運動療法をより厳格に行う以外は、NASHに特別に有効な治療法は今のところ確立されていません。糖尿病で使われるインスリン抵抗改善薬等の内服治療も検討はされていますが、まだ評価が定まっていないのが現状です。

以上のようにNASHについてはまだ未解明の事も多く分かりづらく感じてしまうかもしれませんが、脂肪肝で肝臓の数値も高いと言われている人は、アルコールを飲んでいる場合はまずそれを出来るだけ減らしましょう。それでも脂肪肝や肝機能の値の異常が治らなければ非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の可能性があり、肝炎(NASH)や肝硬変に進展しないか、健康診断等の機会を利用して採血や腹部超音波検査で経過を追いかける必要があります。例えばアルコールをやめても肝臓のAST値が80IU/L以上が続く場合や、超音波検査で脂肪肝だけでなく肝障害も指摘されるような場合は、念のために一度専門医(消化器内科)に相談してみましょう。

同友会メディカルニュース / 医療と健康(老友新聞)

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