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同友会メディカルニュース

2014年5月号
「胆石」の事をよく知って正しく付き合いましょう

腹痛イラスト

健診の結果で「胆石」と指摘された方は皆さんの周りにも決して珍しくはないと思います。胆石には胆嚢(たんのう)に石ができる胆嚢結石と、胆管に見つかる胆管結石がありますが、今回は胆嚢や胆石について、正しい知識と付き合い方を一度確認する機会になればと思い取り上げてみます。

胆嚢は肝臓の右下にぶら下がるように存在している袋状の組織で、胆管と呼ばれる管で肝臓と十二指腸に繋がっています。その役割は肝臓でつくられた胆汁という消化液を一時的に貯めて水分を吸収し、濃縮する事です。そして食事の刺激によって胆嚢が収縮すると、胆汁は胆嚢から胆管を通って十二指腸内に流出し、主に脂肪の消化分解の手助けをします。

胆石は胆汁が胆嚢内で濃縮される際にコレステロールやビリルビン(胆汁色素)が混ざり合って結晶化してできるもので、成分によって主に「コレステロール結石」と「色素結石」に分けられます。最近は食の欧米化が進んで低蛋白高脂肪な食事が増えたためコレステロールが胆汁の中で飽和(ほうわ)して析出しやすい環境になっているため、コレステロール結石は増加傾向で胆石の7割を占めるようになっており、近年では一般人口の10人に一人が胆石を保有していると考えられています。

多くの方は胆石があっても特にその事を意識されることなく過ごしていますが、一定の確率で胆石が詰まってしまい胆汁が流れなくなる「胆石発作」を起こしてみぞおちや右上腹部に強い痛みを生じる事があります。単に一時的な痛みだけで治まればまだいいのですが、胆嚢の出口近くで石が詰まった場合は「胆嚢炎」、それより先の胆管で詰まった場合は「胆管炎」を起こして、激しい腹痛と共に吐き気・嘔吐・発熱等を伴い、胆管炎の場合は黄疸を認める事もあります。治療が遅れると腹膜炎や穿孔、敗血症といった重い病状に至り、特に「急性閉塞性化膿性胆管炎」と診断された場合は救急医療体制の整備が進んだ現代であっても命の危険に晒されることは決して珍しくありません。

統計学的に見れば、1年のうちに胆嚢結石保有者の2~3%が合併症(急性胆嚢炎・胆管炎・黄疸など)を来たし、最終的に保有者の有症状化率は15~50%で、急性胆管炎0.3~1.6%、急性胆嚢炎3.8~12%、経過に関わらず胆嚢摘出に至る確率は20~40%程度とされています。有症状化の危険因子は、若年性の胆石であること、胆石が複数あることなどです。

内服で溶かす治療や、体外から衝撃波を与えて破砕する(ESWL)方法もあるのですが、いずれも根治率は低く、再発しやすいとされています。諸説あり結論は出ていませんが今のところ胆石とがんの関連性は証明されていないこと、有症状化率は最初の1~3年が最も高く経過観察期間が長期に渡るほど合併症の発生頻度は低下するということもあって、胆石治療のガイドラインでも無症状の場合は原則として経過観察であり、定期的な検査を続けていく中で症状が出現したり胆嚢壁の肥厚や石の増大を認める場合には手術を検討する(腹腔鏡の技術が進歩して、現在はより短期間・低侵襲で胆嚢を摘出できるようになっています)事が推奨されています。

コレステロール胆石はカルシウム成分が少ないためレントゲンやCTでは映りにくく、大きな胆石でも全く映っていないという事も珍しくありません。胆石発作を起こさないと採血ではまず異常を認めないため、大人しくしている胆石を発見するにはもっぱら腹部超音波検査が頼りとなります。元々胆嚢に石が見つかっている方はもちろん、今はまだない方も健診時に定期的に確認するように努めましょう。また石が胆嚢ではなく胆管にある場合は通常の腹部超音波検査では見つからない場合も多いので、例えば胆石が出来やすい方や腹痛の原因がはっきりしないという方は一度MRCP(磁気共鳴胆管膵管造影:MRI装置で胆嚢から胆管、膵管を描出します)検査も受けてみる事をおすすめします。

  • 腹部超音波での胆石の症例
    腹部超音波での胆石の症例
  • MRCP検査を行うMRI
    MRCP検査を行うMRI

胆石が出来てしまう原因として最も多いのは前述のとおり高脂肪食の過剰摂取ですが、その他にもアルコール、糖尿病や脂質異常症等の基礎疾患、脂肪肝、加齢、ストレス、睡眠不足、女性(ホルモンの影響などで男性の2~3倍出来やすい)などが危険因子とされています。一見意外に思われるのはダイエットで、痩せるための努力をして胆石ができるというのは不思議に思われるかもしれませんが、過剰なダイエットをするとどうしても食事を過度に控えたり不規則になりがちです。そうすると胆汁が胆嚢の中で溜まったままの時間が長くなり、胆石が出来やすくなると考えられています。胆嚢内の胆汁は規則正しい食事や運動といった刺激で適度に使って入れ替えてやる事が大切という事です。胆石がある方もそうでない方も、生活習慣による予防対策と健診での定期的なチェックでしっかり管理をなさってください。

特に胆石に注意したい方は...

特に胆石に注意したい方

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