栄養士連載 食事プラスワン

第35回 食物繊維

「野菜を多く食べるように気をつけている」とおっしゃるノリオさん(55歳)。
昼食でも野菜を摂れるメニュー選びを意識しているようですが、お困りの様子です。

55歳男性 ノリオさん

最近、仕事が忙しくて昼がコンビニばかりなんです。
妻から健康のために昼も野菜を食べた方がいいと言われて、外食のときは野菜の多い料理やセットに小鉢を選んでいたんですが、コンビニだとどうしても同じメニューばかりで飽きてしまって。

昼食で野菜を食べるように心がけていたのですね。素晴らしいです。
コンビニだと、どのような組み合わせが多いですか?

管理栄養士

55歳男性 ノリオさん

カップ麺やおにぎりにはサラダや野菜スティックを合わせるようにしています。野菜が多いサンドイッチを選んで、スープと一緒にすることもあるかな。

いい組み合わせですね。
野菜を食べるとき、ごはんやパンなど他の食品と比べて、噛む回数が多くなっていませんか。よく噛むことで満腹感を感じやすくなり、食べすぎを防ぐことができます。

管理栄養士

55歳男性 ノリオさん

たしかに、食後に物足りなくてお菓子を食べちゃうことは少なくなったかもしれないな。

変化を実感できていらっしゃるのですね。
ほかにも、野菜に含まれるカリウムは血圧を下げる助けをしてくれるんですよ。

管理栄養士

55歳男性 ノリオさん

それと、同僚に野菜から食べるといいと言われたので、食べるタイミングも意識しています。

食べ方を工夫されているんですね!
「野菜から食べる」ことには血糖・中性脂肪の改善というメリットがあるんです。これは食物繊維のちからで、炭水化物や脂質の吸収を緩やかにしてくれる効果があります。また、食物繊維は便秘の解消にも役立ちますよ。

管理栄養士

55歳男性 ノリオさん

食物繊維か・・・よく聞くけど、野菜以外にも入っているの?

20歳以上の方では、食物繊維の約半分は穀類・野菜類からとっているというデータがあります。野菜だけでなく、主食からも食物繊維がとれるんですよ。他にも果物、豆類、海藻などにも含まれています。

管理栄養士

55歳男性 ノリオさん

最近おにぎりコーナーでも「食物繊維」の文字を見かけますね。
普段の食事だとどのくらいになるんでしょうか。
僕は夕食で両手いっぱいくらいサラダを食べるから相当取れていると思うんだけど、足りないかな?

ノリオ1日の食事の表

夜のサラダはレタス100g、トマト50g、ブロッコリー30gくらいでしょうか。このお食事ですと、食物繊維は1日通して13gくらい取れていますね。ただ健康への利益を考えると、食物繊維は「1日25g」取った方が良いとされています。

管理栄養士

55歳男性 ノリオさん

野菜を食べるようにしていても食物繊維は足りてないんですね。
品数や量を増やしたらいいのかな?サラダをもう一つ追加するとか・・・

葉物の野菜を増やすのも良いですが、効率よく食物繊維をとるには卯の花やひじき、切り干し大根などのおかずを追加するのもおすすめです。

管理栄養士

コンビニ総菜の例

同じ品数でも、コンビニの食物繊維が豊富なおにぎりに変えてみたり、きのこや海藻などが乗っている惣菜やサラダを選ぶのも工夫です。また、外食や自宅の主食を玄米、ライ麦パン、全粒粉の麺類にすると穀物からの食物繊維も期待できます。

管理栄養士

55歳男性 ノリオさん

葉物のサラダだけではなく、こういうお惣菜でもいいんですね!
おにぎりを変えて卯の花を追加するだけでも6gくらい多く取れるのか、やってみようかな。

これなら、コンビニが続いてしまう時でもお食事を楽しみながら食物繊維を意識できそうですね。間食で干し芋やナッツを選んだり、朝食に果物を1品取り入れたりするのもおすすめです。夕食のサラダには豆や海藻をトッピングしてもいいですね。たとえば、昼のメニュー変更と合わせて、朝にりんごを食べ、夜のサラダにミックスビーンズ1/2袋とめかぶを足すと、食物繊維量は約25gになります。

管理栄養士

食べ物に含まれる食物繊維の量の例示

55歳男性 ノリオさん

明日から早速試してみます!

コラム

食物繊維

食物繊維は、食べ物の中に含まれますが人の消化酵素では消化する事のできない物質です。

「繊維」という言葉から糸のような形状をイメージされがちですが、水に溶けて「ネバネバ」するものや「サラサラ」するものまで多くの種類があります。

水に溶けるタイプの水溶性食物繊維はリンゴやミカンなどの果物やオクラやトマトなどの野菜、寒天や海藻類、こんにゃくなどにも含まれています。

水に溶けないタイプの不溶性食物繊維は、大豆やイモ類、根菜類やキノコ類、穀物など、繊維質の食材に多く含まれます。

食物繊維は、便通を整えて便秘を防ぐうえで欠かせないものです。また、脂質・糖・ナトリウムなどを吸着して身体の外に排出する働きがあるため、肥満や脂質異常症(高脂血症)・糖尿病・高血圧など生活習慣病の予防・改善にも効果が期待できます。

健康への利益を考えた場合、食物繊維は「少なくとも1日25g」が理想ですが、令和元年 国民健康・栄養調査では平均摂取量は15~17gという結果で、現在はほとんどの日本人で不足していることがわかっています。

現実的に目指したい数値として日本人の食事摂取基準2025年版での目標量は30~64歳の男性で22g以上、女性18g以上と設定されています。

まずは目標量への到達を目指して、積極的に食物繊維を取っていきたいですね。

注意
特に治療中の方は、食事量、調理方法など、必ず担当の医師や栄養士に確認し、指示に従ってください。

栄養バランスのよい食事とは

同友会メディカルニュース / 医療と健康(老友新聞)

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