同友会メディカルニュース

2026年4月号
世界対がんデーに、がんについて考えてみましょう

毎年2月4日は、世界対がんデーです。世界対がんデーは、世界中のひとりひとりが、がんに対する意識を高め、知識を増やし、がんに対して行動を起こすことを目的として世界中で人々ががんのために一緒にできることを考え、行動を起こす日です。

今回のメディカルニュースは、まずは自分の周囲のがんについて知っていただくため、最近のがん統計について取り上げてみたいと思います。そこからあなた自身ががんに対して何か行動を起こすきっかけになれば幸いです。

日本のがん統計は、国立がん研究センターの運営する “がん情報サービス” でどなたでもインターネットで閲覧できます。がん罹患数については全国がん登録罹患データ、がん死亡数については、人口動態統計がん死亡データが元データとなっています。

現在発表されている最新のデータでは、2021年にがんの診断を受けた方は、988900例(男性 555918例、女性 432982例)。2024年がんで亡くなられた方は、384111人(男性221786人、女性162325人)。この数字だけでは、あまりピンときませんが、2021年のデータでは、日本人が一生のうちがんに診断される確率は男性63.3%、女性50.8%。2024年データでは、日本人ががんで死亡する割合は、男性24.4%(4人に1人)、女性17.2%(6人に1人)。がんは決して他人事ではない病気なのです。

部位別にがんの罹患数をみていきましょう(表1)。

表1部位別 がん罹患数(2021)
1 2 3 4 5 6
合計 部位 大腸 乳房 前立腺
罹患数 154,585 124,531 112,881 98,782 95,584 45,819
男性 部位 前立腺↑ 大腸→ 肺↓ 胃↓ 肝↓ 膵↑
罹患数 95,584 86,271 82,749 76,828 23,677 22,950
女性 部位 乳房→ 大腸↑ 肺↑ 胃↓ 子宮↑ 膵↑
罹患数 98,782 68,314 41,782 36,053 30,111 22,869

近年の年次推移推計: ↑ 増加傾向 → 横ばい ↓ 減少傾向

がんの罹患部位については、男性では前立腺、女性では乳房が多いです。その数はそれぞれ年間9万数千人です。2番目以降は、男女共に大腸、肺、胃の順序です。2番目の大腸がんは男性86271人、女性68314人でやや男性に多くなっています。3番目の肺がんは、男性82749人、女性41782人、4番目の胃がんは76828人、女性36053人で、肺がん、胃がんは、男性が女性の約2倍となっています。男性で5番目の肝臓がんは約60%がB型・C型肝炎ウイルス感染のある方で、B型C型肝炎ウイルス感染のない方では罹患数は少なくなります。女性で5番目の子宮がんは、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が主な原因の比較的若年者に多い子宮頸がんは、HPVワクチンの普及とともに減少傾向ですが、40歳代後半から増加する子宮体がんは増加傾向です。ここで注目すべきは6番目の膵がんです。膵がんは、男性22950人、女性22869人でほぼ同数です。膵がんの罹患には性差がありません。

がん罹患数の近年の年次推移推計では、男性では、前立腺・膵臓は増加傾向、大腸は横ばい、肺・胃、肝臓は減少傾向です。女性では、大腸・肺・膵臓・子宮は増加傾向、乳房は横ばい、胃は減少傾向です。男女ともに膵がんは増加傾向です。

次に部位別のがん死亡数をみていきましょう。(表2)

表2部位別 がん死亡数(2024)
1 2 3 4 5
合計 部位 大腸 膵臓 肝臓
死亡数 75,569 54,416 41,235 37,867 22,465
男性 部位 肺↓ 大腸↓ 胃↓ 膵臓↑ 肝臓↓
死亡数 52,333 28,826 24,720 20,371 15,133
女性 部位 大腸↓ 肺↓ 膵臓↑ 乳房↑ 胃↓
死亡数 25,590 23,236 20,864 15,869 13,147

近年の年次推移推計: ↑ 増加傾向 → 横ばい ↓ 減少傾向

統計の年次は異なりますが、表1の罹患数と表2の死亡数を比較してみてください。
部位別のがん死亡数では、肺がんが最多75569人で、男性が52333人、女性23236人、罹患数同様男性が女性の約2倍です。肺がんの5年生存率は年々改善していますが、まだ30%台です。大腸がんの死亡数は54416人、男性28826人、女性25590人で若干男性が多いです。大腸がんの5年生存率はステージにより大きく異なり、ステージⅠでは90%以上ですが、大腸がん全体では60%台です。膵臓がんの死亡数は41235人で、男性20371人、女性20864人でほぼ同数です。40歳以降から増え始め膵臓がんの5年生存率は、10%以下とがんの中で最低で、今のところ改善傾向もありません。胃がんの死亡数は37867人、男性24720人、女性13147人です。これまで胃がんの死亡数は5万人前後で推移していましたが、ピロリ菌の除菌治療が始まり2013年から胃がん死亡数は減少し始め、2024年には4万人を切り、今後さらに加速し減少していくと考えられています。

がん死亡の近年の年次推移推計では、男性では、膵臓のみ増加傾向、肺・大腸・胃・肝臓は減少傾向です。女性では、膵臓・乳房は増加傾向、大腸・肺・胃は減少傾向です。つまり合計では、膵がんのみが死亡数増加傾向なのです。

がんの予防と早期発見―今自分をがんから守るためにできること

  1. 大腸がんに対しては、50歳以降便潜血検査を受け、陽性であれば必ず大腸内視鏡検査を受けること。便潜血陰性でも50歳以降には一度大腸内視鏡検査を受け、数年に1回は大腸内視鏡検査を受け、腫瘍性ポリープがあれば切除すること。
  2. 胃がんに対しては、なるべく早く自分の胃の中にピロリ菌が感染しているか知り、感染していればピロリ菌の除去(除菌)を行うこと。ピロリ菌の感染歴があれば、除菌治療後も定期的な内視鏡検査を受けること。
  3. 男性では、前立腺がんに対して50歳以降PSA検査を継続して受けること。女性では、子宮頸がんに対してなるべく早くHPVワクチン接種すること、20歳以降子宮がん検診を受けること。乳がんに対しては、40歳以降乳がん検診を継続して受けること。
  4. 肝がんに対しては、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスの感染の有無を知ること、感染があれば適切な治療を検討すること。
  5. 肺がんに対しては、タバコは吸わない、喫煙していればなるべく早く禁煙すること。肺がんの55%は喫煙と直接関連性が低い肺腺がんですので、非喫煙者も油断できないこと。以下もご参照下さい。
    https://www.do-yukai.com/medical/189.html
  6. がん検診で要精査となったら、放置せず必ず医療機関で相談して、適切な検査を受けることが最も重要です。残念ながらがん検診の要精査の受診率が思わしくないことが、がん対策の最大の懸案事項です。

罹患数、死亡数が増加している膵がんについて

罹患数が増加し、5年生存率は10%以下で死亡数も増加している膵臓がんは、特に注意が必要です。膵臓がんの発見には、画像診断としては腹部超音波検査とMRIを用いたMRCP検査が重要です。健診・ドックのオプションとしてMRCP検査を受けること、腹部超音波検査で、がんではなくても“膵嚢胞性腫瘍疑い”や“主膵管拡張”などの結果でMRCP検査を受けることが現状でできる有効な方法です。また近年新しい腫瘍マーカー(血液検査)なども開発されています。早期発見の難しい膵がん発見に積極的に取り組んでいる医療機関も多くなっています。同友会でも膵がんに立ち向かうため最新の知見に基づいた “膵がんドック” を始めました。

AYA世代のがんについて

AYA世代とは、Adolescent and Young Adult(思春期・若年成人)の頭文字をとったもので主に15歳から30歳代の世代を示しています。年間のがん発症の人数の約2%で多くはありませんが、小児期のがんと類似していますが、30歳以降では乳がん、子宮頸がん、大腸がん、胃がんなどが多くなり、一般的ながん検診の受診年齢ではないこともあり、注意が必要です。気になる症状があれば一度医療機関受診をお勧めします

がんと闘うにはまずがんを知ることが重要と考えます。何か気になることがありましたら是非かかりつけ医や医療機関でご相談していただくことが、第一歩です。ぜひご検討ください。

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